17 緊急事態速報 (1)

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 その後、私はなんとか教授の質問に再び回答できたが、また油断したのかうとうととし始めてしまった。  体を揺らさないようにと思うのに、疲れが溜まっているのか体が大きく揺れて目の前にいる大塚教授には私が睡魔に負けていることがバレバレだ。  ――だめ!目を開けて!  私は自分に必死で言い聞かせた。しかし、もはや他の学生と大塚教授のやりとりが子守唄のように聞こえ、心地よい眠りに誘われてしまった。  ◆◆◆  この日は、料理人のベスが太った体をゆすって私に抗議をしてきた日だ。継母のルイーズのわがままに付き合いきれないとベスが私に訴えてきたのだ。執事のハリーも一緒にいた。ジャガイモやにんじんやバルドン公爵領で採れた野菜ではなく、ルイーズが別の領地で採れた野菜を仕入れるように注文をつけてくることに我慢がならぬらしい。別の領地とは継母の実家のあるベジューランダ伯爵領のことだ。継母は実家で採れたものしか食べず、こだわりが強すぎた。 「物流ねぇ」  私はベジューランダ伯爵領の野菜を無事に買い続けることができないか考えた。
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