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――これは夢じゃないの?異世界転生ぐらいあり得ない事態だ。
昨日の夢の中でも私は殺されかけて、今も嘘のような出来事で何者かは私を消滅させようとしている。
私はフラフラと講義室を出た。コーラだけではお腹が満たされていない。とにかく美味しいものを食べたいと思った。学食に行こうと思ったが、魔導師ジーニンと元婚約者のヒューとショッピングモールのフードコートで立ち会う約束をしていることを思い出した。
私は納付する学費を稼ぐために、空き時間を全て異世界転生バイトに費やすことになっている。でももう、学費を納付するためにバイトをする必要も無くなったのかもしれない。本当に隕石が衝突するならば。
――生きていられるなら、今の人生も悪くなかった。
私はふとそんなことを思った。今朝も会ったアパートのみんなのことを思った。みんなも今頃ひっくり返っているだろうか。このありえないニュースに。
講義室を出たところでヒューが目の前に現れた。彼は優しい目で私を見つめて微笑んだ。
ヒューだって現実世界で起きていることを知っているくせに、いつもと変わりない態度で私を穏やかに見つめている。
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