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「さあ、ヴァイオレットお嬢様はショッピングモールに移動して、いつものように魔導師ジーニンと一緒に食事を取りましょうか」
ヒューが腕を差し出してきて、私はエスコートされた。周りの子たちはスマホに夢中で、先ほどまでキャアキャア騒いでいた美貌のヒューに気づいていない。
「ねえ、昨晩、私はあなたと食事を取った後は眠ってしまったのよね?どうやってアパートまで帰ったのか覚えていないのだけれど。結構酔っていて、記憶をなくしてしまったみたいなの」
私は歩きながらヒューにこっそり聞いた。
「ヴァイオレット聖女様はスキルを発動して奇跡的に生還したでしょう?昨晩は心から心配したよ。君が無事で本当に良かった。今朝、サミュエルがアパートまでお迎えに行ったのは警護のためだ。僕が今君のそばに朝からいるのも、警護のためだ」
ヒューは意味不明なことを言った。
「あれは夢でしょう?」
私はギョッとしてヒューに聞いた。
「隕石衝突と同じくらいに現実だよ。ヴァイオレット」
私は異世界転生バイトを続ける意味があるのか逡巡した。この状態で彼の話に合わせることに意味があるのだろか。
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