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「ルネ伯爵令嬢のマルグリットは、私が処刑される前にあなたに近づいたかしら?」
私はさっき夢に見た内容を思い出して、彼に聞いた。
ヒューはピンクの色鮮やかな花が咲いているサルスベリの木の下で、顔面蒼白になった。
「思い出したの?ヴァイオレット!?」
真っ青になったヒューの頬にゆっくりと赤みがさし、瞳がキラキラと輝きだし、私を抱きしめんばかりに接近してきた。
「いや、あなたがiPadで見せてくれた登場人物の話からちょっと思っただけだけれど」
私はヒューの勢いに気圧されて後ずさった。
「確かにマルグリットは僕に近づいてきた。君の親友だったはずのルネ伯爵令嬢マルグリットが教えてくれたことがあって、僕が君を疑うきっかけになったのは確かだ」
ヒューは苦しそうに私に言った。彼の心の葛藤が手に取るように私に伝わり、私の心が震える。
――彼は俳優になった方がいいわ。本当にリアルに起きたことのように彼はセリフを言う。
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