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「中継つながっています。えー、こちら隕石を撃退した光線が出たというアパート前に来ています」
アパートの部屋のテレビから賑やかな実況中継が聞こえてくる。私の部屋の真下にも同じことを喋っている女性アナウンサーが立っている。
アパート上空にはドローンやヘリコプターが飛びかっていて、音がうるさい。
私はどうしてこうなったと青ざめていた。
数時間前、確かに私は結菜に言われて空に向かって呪文を唱えてみせた。それはほんの気休めで、おふざけだった。今朝、結菜が2階から落下するのを私が魔法を使って救ったと思い込んだ結菜が、隕石を魔法で撃退してくれとせがんだのだ。私はやってみた。それが思わぬ効果を発揮して、今に至る。
◆◆◆
私は大学からヒューとサミュエルと魔導師ジーニンと一緒にアパートまで戻ってくると、アパートの住人のほとんどが集まってきていた。ニュースを見て家であるアパートに帰宅してきていたのだ。
大家さん、私の部屋の右隣のおばあちゃん、階下に住むサラリーマンの男性、階下に住む大学生、結菜と悠斗とそのお母さんがアパート前に集まってきていたのだ。サラリーマンは佐々木さんで、大学生は純斗だ。皆、同じアパートに住むから顔見知りだった。
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