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そこからあっという間にGoogleマップや衛星写真から、私の住む古いアパートが世界に特定されたというわけだ。今は、スマホを掲げた一般の方やテレビ局の人たちが沢山アパート前に集まっていた。地面に跪いて神に祈っていた世界中の人は、日本から救いの神光線が出たと信じられない超常現象について話している。なんでこうなったのか分からない。
「だから、富ちゃんは本物の魔法使いなんですよっ!」
結菜は大興奮だった。悠斗もそうだ。ヒューと魔導師ジーニンは「偉大な聖女さまですよ」と結菜と悠斗に教え込んでいる。私はその状況にもう力が抜けた。
アパートの住民はテレビ局や取材には一切応じなかった。みんな大人は見たことは黙っていて、私が聖女だなんて一言も取材の人には話さなかった。私も一応、魂の抜けたような力の抜けた感じでテレビの前には立った。顔を隠すために大学生の純斗に借りたメガネをかけて。
「疲れているので、お引き取りいただけますか」
「私どもはこのアパートから光線が出たという目撃情報を調べているのですが「そんなものは全く気づきませんでした!」」
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