20 祝杯と過去の世界に

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「これは多くの人の命に関わることなんだ。君が生きていてくれないと困るんだ。ほら、だって今日だって地球を隕石から守っただろう?」  ヒューは私を説得しようとした。 「君は聖女だった。裏切られて処刑されたことに少なからず恨みを持って死んだはずだ。犯人を突き止めて無念を晴らしたいヴァイオレットは前世に戻ることができるんだ」  私はヒューの勢いに押され気味だったけれども、まだ納得していなかった。 「処刑された時、私は18歳だったんでしょう?戻ったところで私一人で犯人を特定できるかしら。たとえばルネ伯爵令嬢が私の親友のふりをして私を陥れていたとしたら、私は彼女に勝てると思う?」  私が聞くと、魔導師と元婚約者の二人は一瞬無言になったが、二人で顔を見合わせてうなずいた。 「君が集めてきた状況証拠を元に考察会を開こう」  ――は?  よく分からないことになった。 「スマホのカメラ機能は使えるから」  ヒューは新しいスマホを私に差し出した。  私は目を瞬いた。スマホを持って前世に戻るということだろうか。 「え……ちょっと待って」
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