20 祝杯と過去の世界に

6/8
前へ
/415ページ
次へ
「何だか面白そうだから、僕もその犯人探しを手伝うよ」  アパートの下の階に住む大学生の純斗がいきなり会話に入ってきた。アパートの隣の部屋に住むおばあちゃんのところに皆で集まって、祝賀会を開いていたのだ。アパートの他の人たちは隕石撃退を祝うために集まっていて、魔導時ジーニンとヒューとサミュエルは、私の力が戻ったことを祝うために集まっていた。そして、私たちの会話をこの大学生は聞いていたらしい。皆の尽力もあり、アパート周りには、もう報道陣は数えるほどしか残っていない。いつもの落ち着きが訪れようとしていた。    彼は、ただ、好奇心旺盛な気のいい若者なのかもしれない。 「おぉ、純斗君だね。登場人物紹介をするよ」  ヒューは早速iPadで純斗に人物紹介を始めた。 「こちらが普段ヴァイオレットがシャーロットおばさまと呼んでいたゼルニエ侯爵夫人だ。そしてその夫のゼルニエ侯爵、レロックス男爵、その子息のスチュアート、レロックス男爵夫人、モートン伯爵、モートン伯爵夫人、モートン伯爵令嬢のキャサリン、アリス姉妹。そしてバリドン公爵家の執事のハリー、ヴァイオレットの家庭教師のパンティエーヴルさん、ヴァイオレットと一番親しかった侍女のアデル、そしてこちらがヴァイオレットの親友と言われていたルネ伯爵令嬢のマルグリット……」
/415ページ

最初のコメントを投稿しよう!

128人が本棚に入れています
本棚に追加