128人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒューの唇が私の唇に重なり、私はそれにしっとりと応えた。
ヒューの唇が離れると、そっと小さな声で私は聞かれた。
「結婚してくれる?聖女様。今夜の舞踏会で発表したいんだ。父と母には帰ったらすぐに報告したい。どうか僕の切なる願いを、了承してくれないだろうか」
私は喜びで胸がいっぱいになり、舞い上がった。ふわふわとした温かい気持ちが私の胸を満たして、私はこの上ない幸せに包まれた。どこまでも続く灰色の大地は私の幸せの瞬間の記憶だ。
「舞踏会で発表するの?」
私は照れ隠しにそれだけ言った。
「結婚の申込に対する返事は承諾したということかな?ヴァイオレット聖女様」
ヒューは私の目をのぞき込んだ。彼の瞳が期待で輝いている。私は彼の唇に口付けをして、もっと抱きついた。彼の心臓の音が聞こえるぐらいに。
彼の服の胸のレースフリルは、素晴らしくゴージャスだ。細かい刺繍がされている。
「もちろんよ!あなたと結婚できるなんて信じられないほど幸せよ」
私は王子との結婚を承諾した。
◆◆◆
最初のコメントを投稿しよう!