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舞踏会では華々しく聖女である私と王子の婚約が発表された。私は親友のマルグリッドに抱きしめられて祝福された。ルネ伯爵家の末娘のマルグリッドは丸顔で愛らしい頬をした背の低い令嬢だが、よく気が効いて、周囲のみんなに愛される令嬢だった。
この時のマルグリッドの淡いピンクのドレスは彼女にとても似合っていた。私の薄紫色のドレスよりよっぽど豪華だった。私の実の母は亡くなっていて、継母のルイーズは私より自分の子である妹を可愛がっていたのだ。公爵令嬢なのに、私は十分なドレスの支度ができなかった。
でも、ヒューはそんな私のそのままを愛してくれていると思っていた。
様子がおかしくなったのはいつからだったのだろう?私は牢獄の中で記憶を振り返った。私が言ってもない言葉を聖女である私が言ったと影口が世間に回り始めたのはいつからだったのだろう?
私は最初は気にもしなかった。幸せだったから。聖女として忙しかったから。でも、ある時から土地を回る人物がヒューから国王の甥のアルフレッドに変わった。
私はそれでも気にしなかった。ヒューは王子だから、別の仕事で忙しいという説明を鵜呑みにした。
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