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ハルはギターをケースから出しながら、聴いてもらって良いですか?と断って弾き語り出した。
how high
春が僕に贈った曲。
今、娘の弾き語りで聴いても素晴らしい。
ハルは母親と同じ様に、流暢な英語を危なっかしい音程のうたとギターに乗せていて、それがイノセントな魅力となっていた。
原石。
もう一曲
my father
皮肉にも彼女は、知らずに当の本人に向けて、彼女のオリジナルソングの中でいちばん胸を締め付ける歌を歌っている。
半ば放心していると、ギターを手渡された。
「仲島さんの曲も聴きたいです」
I'll always give you my loving, softly
僕が春に贈った曲。
「良いですね、you give your love to me softlyへのアンサーソングみたくて、母が良く、オサムくん、良い曲書くんだけど、ちょっと歌が下手っぴだったんだよ、って。こんな感じだったのかな?あ、失礼ですね、すいません!」
母親に似て鋭い。
「ブランク長いから、いいよ」
「もう一曲聴きたいです」
もうヤケだ。
my bloody hony
she's so bloody, but she let me in
を3回繰り返し、最後の
oh give me one more chance, again,
のあと、最後のもう一度againは、かすれて声が出ず、咳払いで誤魔化した。
血まみれの彼女。
横浜に来てからの春と、別れを思い出していた。
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