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「わたしは自分のことを社会的弱者だと思います。ポンナシというだけで、だれもわたしの話しを真面目に聞いてくれないですからね」あなたのように。
「そんなことはないですよ。僕は少なくとも月読さんの話しをしっかり聞いていますよ。そうやって自分の欠点のせいにする人って『自分は社会的弱者です。社会が守ってくれないと、わたしたち死んじゃいます』。ってな具合で他力本願に生きているようにしか思えない。僕なんて性的少数派ですし、母親殺しの父が身内ですし、知的障害ですよ? おしりのぽんぽんがないくらいで、悲観しなくてもいいんじゃないですか?」雑魚が。
「そうやってわたしと比較することに意味はあるの? 別にあなたの人生は辛いものだったと思うし、わたしのほうが辛かったなんて競うつもりもないのだけど」みじめだね。かわいそうに。
「そうですか」話になりませんね。
収録スタジオが、冷淡な空気に包まれる。
そして、とても人間的に武者震いしてしまう。月読の正義心からくるものか。それにしても、月読の自我の強さはすごい。神格での制御を超える。
「ところであなたは、おしりのぽんぽんがない人間を非難する団体に所属していると耳にしましたが、わたしのことをどう思っているのですか?」
あまりに直接的過ぎる問いだったか、少し滞ってから彼は話し始めた。
「べつに、普通です」
カスみたいな回答。たたみかける。
「なぜポンナシを非難するのですか? あなたの団体は何がしたいのですか?」
「別にそれを非難する団体ではないですよ。ただ、僕にはおしりのぽんぽんがありますからわかりますけど、あなたのような方々はわからないのでしょうね」
「ポンナシがそこまで醜いですか?」
彼はくふっ、と噴き出して、小さく笑みを浮かべ馬鹿にしたような面持ちで言う。
「ええ、醜いですね。だって、おしりのぽんぽんがないってことは、何をよりどころに生きているのかわかりませんから。もはや植物と変わりませんよ。ああごめんなさい。今僕の言っていることもポンナシにはわからないでしょう」
喧嘩を買った甲斐があった。ついに彼の本性が露わになった。
しかしわかっていないのは彼のほうだ。神と同等なわたしはポンナシも、ポンアリも、そのどちらの心情も理解している。そして月読という、人間の情を深く洞察できる人間であればなおのこと。これは神をも凌駕する力。
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