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七
サラヒバ村を出たマヒワは、アドウル候に褒美として願った、衛士派遣の打ち合わせをするため、城に隣接する兵舎を訪れていた。
城門のところで用件を伝えると指導教官のいる部屋に案内してもらえたのだが、順調なのはここまでだった。
机の上に脚をあげてふんぞり返っている教官のグッフスに衛士の派遣の件を切り出すと、いきなり雲行きがあやしくなった。
「マヒワ殿は、この領内に村がいくつあるか、ご存じか?」
グッフスは、マヒワを見据えて、片方の眉をつり上げていった。
マヒワのことをまったく世間知らずの小娘だとしか思っていない態度に、マヒワの方もつい喧嘩腰になる。
「そんなこと、知りません!」
グッフスはマヒワの答えに鼻で笑って、
「ご存じない……と。ならば、教えて差し上げよう。およそ三五〇村だ。その全てに自警団がある」
と数字を強調する。
「それら村のすべてに衛士を派遣する? ――ん?」
といって再び眉をつりあげた。
「今回の事件は流れ者が徒党を組んで一村を襲ったんですよ! アドウル候の領地には、隊商の護衛からあぶれた者たちが流れて来てるでしょう。今後も徒党を組んで村を襲うことは考えられませんか? 村ごと襲撃するような事件ならば、衛士隊が対応する事案です! いずれにしても、最終的には衛士隊を派遣することになりませんか? それでも、初期の対応は自警団がやらざるをえません。ならば、衛士隊の到達までがんばっていただけるよう、自警団の技量を高める必要があるのでは?」
カチンときたマヒワは、一気にまくし立てた。
グッフスは首を振りながら、
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