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グッフスは、机の上から脚を下ろし、窓際に立った。
「おっ! 幸先、いいねぇ。予想どおり雨が降ってきたようだ。明日は朝からいそがしくなるぜぇ」
といってダフネのほうを振り向くと、
「ダフネさん、俺はもう帰って寝るよ――おやすみ」
と言い残して、グッフスはさっさと部屋を出て行った。
ひとり部屋に残されたダフネは、謎のように言い放ったグッフスの言葉の意味を考えていたが、疲れたように頭を振って、部屋を後にした。
そのあとしばらくして――
兵舎の床下から這い出てきた影があった。
影は、雨脚に足音を隠し、闇夜に紛れてアドウル候の居城から去っていった。
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