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「流れ者の集団などが暴れ廻ったとしても、しょせんは俄にまとまった小規模の集団。遅かれ早かれ捕捉して、殲滅できるがな」
と言った。
「それでも、村に被害が出たり、一村まるごとなくなったりすれば、この領地の税収も減るでしょう。一度失った村を復興するのにも、お金がかかります! いずれにしても、流れ者が村を襲撃する被害は、ご領地の損失です! 違いますか?」
と、マヒワの鼻息は相当に荒い。
「おやぁ……、マヒワ殿。あなたは剣術家だと思ってました。実は、為政者であらせられましたか? 他人の領地経営のことまでご心配いただいて、まことにありがたい……」
といって、教官は机から脚を下ろすと、部屋の扉のところまで歩いていき、
「しかしながら、領地経営のお話なら、わたしでは荷が重い。家宰のほうでご相談ができるかと……」
といって、慇懃に頭を下げて、マヒワのために扉を開いた。
「ご領地の経営は、家宰のダフネ様がなさってるんですね! そりゃどうも! 失礼しましたッ!」
マヒワは、グッフスの前を通り過ぎるときに、領地の経営は家宰がしているのかを念押ししてやった。
グッフスは一瞬だけ怪訝な顔をしたが、すぐにもとの嘲りの表情に戻った。
マヒワが部屋を出たらすぐに、背後で扉が閉められた。
――もぉぉぉーっ!
――いちいち腹立つぅぅぅ!
地団駄を踏みそうになったが、それもこらえた。
相手の思うつぼにはまりそうで、しゃくだったのもあるが、グッフスがマヒワの神経を逆なでする行為があまりにもあからさま過ぎることに、疑念を持った。
――つり上げ眉のバカ男……ちょっとやりすぎたようね。
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