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獄舎の受付で死刑と決まった流れ者たちへの面会を求めると、こちらは意外にも、すんなり許可が下りた。
受付の衛士は、マヒワが通り過ぎるときに片目を瞑って見せたので、彼の好意だろう。ここでも派閥が観られたということだ。
通路を進むと獄舎を担当している衛士がそばに寄ってきて、案内してくれた。ただ、この衛士に、死刑と決まった理由を聞いたとしても、知っていそうになかったので、あえて聞かなかった。
どちらの派閥かが判らない以上、うかつに立ち入った話をしないほうがよい。
衛士の立ち会いのもと、獄舎の中に入ると、あの事件を起こした流れ者の連中は、何組かに分けられて、檻に入れられていた。
建屋を間仕切った檻ではなく、荷馬車に乗せて運ぶ箱形の檻だ。
マヒワが近づくと、傷が酷くて意識のない者を除いて、全員がマヒワを懐かしんだ。
「マヒワさーん。俺たち死刑だってさ」
「せっかく、あんたのおかげで、本気で心を入れ替えようと思ったところなのに……」
「いままで散々に迷惑かけて生きてきたから、仕方ないという思いが半分、死にたくないという思いが半分」
流れ者たちは、マヒワが近づくと思い思いに語り出した。
「でも、こんなクズな俺たちを、本気で理解しようとしてくれるひとに、最期に会えてよかったよぅ」
涙ながらに、声を掛けてくる者もいた。
いつの間にか、マヒワの頬にも涙がつたい、落ちた。
「ごめんなさい。せっかく前向きな気持ちになれたのに、あたしって残酷だよね……」
「マヒワさーん、自分を責めないでくだせぇ」
「そうよ。あんたは俺たちの太陽だ」
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