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7
演奏の盛り上がりに合わせ連続して鳴り響き始める不可解な破裂音。テラとユーシスはその音に反応し顔をそれぞれ反対側へ。二人の周りでは踊っていた者達が次々と人の皮を脱ぎ捨て、醜怪な姿を晒していたのだ。異様な程に細く小柄な体は曲線を描き、溢れ出す涎など気にしない口元では不揃いな牙が不気味に光る。そして零れ落ちそうなギョロ目はそれぞれを気味悪く睨みつけていた。今にも襲い掛かりそうだったが一歩も動かず威嚇の様に睨みつけるだけ。
デュプォス――二人はそれが何かを知っていた。
だからかユーシスはテラを守るように手を伸ばしながら警戒心を強める。
だがその警戒とは裏腹に依然とデュプォスは粗く呼吸を繰り返すだけで動きはない。
「踊るのは苦手ですか? 大丈夫ですよ。流れに身を任せれば」
すると男性の言葉の直後、彼の隣にいた(元々女性だった)デュプォスが二人へ目掛け走り出し、そして飛び掛かった。尖鋭な爪がずらり揃った両手を構え、唾をまき散らし、牙を剥き出しにしながら襲い掛かるデュプォス。
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