無題2

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怖い夢を見る。 だから、眠るのが怖い。 しかし、眠れないことの方が、もっと怖い。 眠れそうになり、ウトウトとした瞬間、なんの前触れもなく突然覚醒するのだ。 それが何度も何度も繰り返されると、だんだんと恐怖に支配されていく。 そんな日が何日も続くと、やがて一日に終わりがなくなり、朝も昼も関係なくなる。 そんな時、たとえ少しの時間でも、たとえ悪夢を見たとしても、眠った実感があると、それだけで、ほっとする。 昨夜はなかなか寝つけず、考えごとをしていた。 それはいつしか妄想のようなものに変わり、キリのいいところで、すっと意識が現実世界に引き戻された。 時計を見ると、思っていたよりも時間が経っていた。 夢を見ていたのだ。 夢は夢だった。 いい夢だったのだ。 これが現実だったなら、と思わせる夢だった。 そしてまた眠れなくなることへの恐怖との闘いが、始まる。
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