僕に付き纏っていた(何か)は幸せを呼ぶ守護神だった

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「ハァ………」  住宅街、学校帰りにて僕は走って逃げていた。  僕の名前は山田徹(やまだとおる)、高校の2年生の普通の学生だ。時間帯は夜に差し掛かる前の夕方。  僕は振り向く。冷や汗をひたいから流し、視線に映る(何か)。顔は見えない、3メートルもあろうかのタッパ、体格は細身。性別は女性?白いワンピースを着用し、細長い腕。長い髪に頭にはシルクハットを被っている。  (何か)は電柱に隠れ、僕を付き纏っている。(何か)はぶつぶつと呟きながら………。ちなみに、例の(何か)は僕以外、誰も見えない。見え始めたのは最近だ。 ───ただいまっ  家に帰り、部屋に荷物を置いて風呂に入って、晩飯を済ませて部屋に戻る。 「はぁ………まだアイツ、見ているな………」  勉強中、机から立ち上がって窓の外を眺めていたら、(何か)は電柱から不気味な様子で見つめている。  (何か)が見えるようになったのは、数ヶ月前。つい最近だ。    ★★★★★★ ───そしてネットで調べ、場所は町から離れ、電車で30分の場所にある田舎の神社にいる霊媒師の所に向かう。  小堂の間に連れて行かれ、霊媒師は僕の周りを調べるように祈祷し、言った。 「なんてことだ………」     霊媒師は驚きました。  霊媒師の言葉に、僕は息を呑む。 「君に付き纏っているソレは、無害そのものです。むしろ、幸福と引き寄せ、あらゆる厄災や病気や怪我から守ってくれる守護神です」 「えっ?………」  僕は唖然とした。あの不気味な(何か)が?。 「大丈夫ですよ、あなたはこれから病気や怪我、そしてあなたの周りは不幸も巻き込まれず、充実した人生が待っているでしょう………」   ───そして10年後。 「ただいま」 「おかえりなさい」 「おかえり、パパ」 「おかえり〜〜〜」  会社から帰って来た僕。霊媒師の言う通り、あれから僕や家族、周りを友人らは何の不幸も巻き込まれず、充実した人生を送っていた。大卒後にて、今の職場で妻と出会い、そして長女と長男を授かり、幸せな毎日である。  リビングに向かい、カバンを置いてスーツをクローゼットに置くと………。  いつものように(何か)はいた。いつの間にか家に入って来たようであり、今では家族のようになっている。僕以外にも見えないのは変わりはないけど………。 「ありがとう、いつも守ってくれて………」  僕は妻や子供達に聞こえないように顔を反らして微笑みを浮かべ、(何か)に感謝の言葉を述べる。 ───いただきます。  食卓にて、いつものように家族の団らん。この日常を送れるようになったのは(何か)のおかげである。
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