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さて部屋に上がらせてもらうとすでに身の毛のよだつようなただならぬ気配。
「──これは!?」
目の前には妖怪になった化け猫がいるではないかっ!! 二本の尻尾を逆立て鋭い目付きで睨んでくる……それもあの口許はなんだ!? 血を滴らせ、舌をすでに伸ばしておる!! 今まで人でも喰らっておったか!? 血でも啜っておったか!! もしや……彼女の足元を見ると……。やはり……この彼女、もう少しで喰われるとこだったか!?……しかし、この私が来たからには、もう大丈夫……。
血まみれの脚を引きずって彼女は私に声を掛けた。
「あの、大丈夫ですか?」
「いや、心配ご無用……危うかった! もう少しであなたは喰われるとこだった!!」
「えぇぇ、だ、誰にですか? ど、どこにいるんですか? また何か来たんですかぁぁ!? 今度はおじいさんっ? おばあさん?」
なにやら彼女は意味不明な言葉を発し、あたりを見渡し震えて狂乱しておる!
「目の前におるではないか? もしやこの女には見えないのか?」
私は霊験灼かこの護符で護ってみせる。もう一刻の猶予もないっ!!
「化け猫、これでも受けよ……」
私は護符を勢い良く投げつける。しかし、化け猫ひょいとかわして身構える。全身毛を逆立て私など見ていない! 狙うはこの怯えている彼女か!!
「早く逃げな──さ……」
化け猫一瞬の隙を見逃さない! 太っている動きではない! 私の目が追い付かず気づいた時には!?
「あぁぁぁぁ……」
化け猫は彼女に飛びかかる。
「しまった!! あの女の血肉の味を覚えて狙ったか!?」
「ぎゃゃゃゃ」
悲鳴をあげ倒れた彼女だった。
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