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化け猫は倒れた彼女の顔めがけて血まみれ口で襲いかかる!! 彼女の顔にあの鋭い牙がぁぁぁ……!! 今にも……!!
「危ないっっ!!」
私は護符を投げつけた!! しかし、化け猫、二本の尻尾で簡単にはたき落とす。
「なんとぉぉ!?? 効かぬのかっっ!? これは手強いぃぃ!?」
「ぎあゃゃゃゃゃ──」
「あぁ……なんということだ……あの女が喰われてるっっ……ま、守ってやれなかった!!」
顔はすでに血まみれだ。身体はヒクヒクと痙攣している。
「すまぬ! 護ってやれなくて……しかし……後でしっかり供養はしてやる!」
と、その時、後ろのドアから漏れ出す淀んだ瘴気。
「ああ、なんとこんな平和そうに暮らしている部屋に……」
ドアがゆっくり開くとそこには……窪んだ黒い目、生気のない顔。髪は逆立てすさまじき怒りでこちらを睨む!!!
「なんともおぞましき姿……こやつが元凶か!!」
すると部屋の奥には倒れた男性……。
「もしやこやつに呪い殺されたか……。なんたる悲惨な、なんたる光景……彼女は化け猫に食い殺され……彼氏は呪い殺され……しかし、ここで食い止めねば……この呪いマンション中に広がる……」
私は護符を怨霊に投げつけた。しかし、ひらりとかわされ怒りの形相は増す!! 邪魔をするなと言わんばかりに奇声をあげる!
「邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔!!」
こともあろうに喰われる彼女の元に向かうではないか!?
「待て……えっ!?」
私は夢でも見ているのか!? 今まで喰われておった女はむくりと起き上がり白目を剥いた状態で立ち上がった。何やら言葉にならない言葉を発しながら顔は喰われ血を啜られ血の色に染まっている。
「もしや、この怨霊はこのマンションの人間を我が仲間にして増やそうと企んで……もしや後ろの彼氏も……」
そっと、振り向くと先程まで動いていなかった死体がピクリピクリと身体を動かしておるではないか。
「これは、敵わぬ! 手に負えぬ! 私一人では多勢に無勢……とりあえず逃げねば私まで……呪い殺されるぅ……呪い殺されるぅぅぅ!!」
隙を見つけねば。怒りの形相の怨霊は髪の毛が逆立ち、喰われ血まみれの彼女はゾンビのように白目を剥いている。フラフラと立ち上がって歩き出しこちらに迫ってくる。後ろでは今にも起き上がりそうな呪い殺された彼氏! 挙げ句にはあの化け猫さえこちらを伺い唸っている!! もう無理だ! 無理だ!! 私は隙を見つけて一目散に逃げ出した。ここにはかかわってはいけない……。絶対かかわってはいけないのだぁ……!!!
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