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万年鯨
常世の空全域に生息する超大型の生物。外見の特徴は、現世のクジラ目に似る。大きさもさることながら、特筆すべきはその体躯の「長さ」である。少なくとも数十キロの長さがあるとされている。あまりに長いため、人間の目視では頭から尾の先まで視界に納めることはできず、頭・尾の端を見るのはごくまれである。
長生きするほど大きく長く成長すると言われている。現世のクジラ目の前肢は一対であるが、万年鯨には通常複数の前肢の対が見られる。これも成長とともに増えるものと推測されている。
あまりにも時空のスケールが違うため、万年鯨がどのように生まれるのか、それを解明するのは人間の観測範囲では限界がある。生物学よりむしろ、地質学に近いのかもしれない。人間より長命な民族にも聞き取りをしたが、彼らにとっても万年鯨は規格外の長命であるらしく、その一生は伝説や憶測でしか語られていないようだ。
ーー桑通観測所の研究者
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