思惑はすれ違う

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寝息が聞こえてきた。 (あぁ、寝ちゃったんだ)とサキは思う。 きっとトシアキも、眠るつもりなんてなかったはずだ。 トシアキはついさっきまで、サキの上に乗っていた。 体位を変えるつもりで、一度、下りたんだと思う。 その後、トシアキが動かないので不思議に思っていたら、寝息を立て始めた。 瞬きのつもりで少し、瞼を閉じたのだろう。 そして、一瞬でも目を閉じれば意識が飛んでしまうくらい、疲れているのだ。 同じプロジェクトチームにいるのだから、トシアキが最近、徹夜続きなのはサキも知っている。 若い社員ならともかく、50代も半ばに差し掛かったトシアキの身体は堪えているだろう。 途中でトシアキが寝てしまったことを、サキは失礼だとは思わない。 むしろ、それだけ疲れているのに性欲があることに感心する。 (このまま少し、眠らせてあげよう)とサキは思った。
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