03.真夜中の異変に

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03.真夜中の異変に

 祥平はベランダから夜空を見上げる。やがて夜空の高いところで青白い光が輝きはじめる。夜空に銀河のような渦巻き型の光の集まりが生まれ、その渦巻き全体がぼんやりと青白い光を放ちはじめるみたいに。それは祥平がずっと待ち続けていた光。  夜空に渦巻く青白い光の輝きはだんだんと強くなり、目がくらむほどのまぶしさを放ちはじめる。さすがに地上の人々も異変に気づく。けれど、真昼の太陽が巨大化したかのような強烈な光のせいで、目で空を見上げることさえもできない。  夜にもかかわらず世界の終わりのようなまばゆい光が空に現れた。そのせいで、真夜中の異変に人々は本当に世界の終わりがやってきたと戦慄するばかり。  世界の終わり。ある意味ではそうかもしれない。ベランダでその瞬間を待つ祥平は、まばゆい光の真ん中を見つめながら考える。  それは、これからウゴジンバ星人とカージュメル星人が、この天の川銀河の覇権をめぐっての戦争をはじめるから。ウゴジンバみたいな野蛮な連中が、この天の川銀河の覇権を握ってしまえば、カージュメルにとってもますます大きな脅威となる。  地球人の時間で今を遡ること1000万年ほど前、ウゴジンバがUZ-652銀河に侵略したとき……。ウゴジンバの蛮行を思い返す祥平の目に一機の宇宙船の姿が映る。左右に細長く伸びた葉巻型の宇宙船。まばゆいばかりの青白い光の中で、それはオレンジ色に輝く。  葉巻型の宇宙船は音もなく地上へと近づく。ガラス窓に反射する室内のライトくらいの大きさだった宇宙船は、今ではちょっとした乗り換え駅くらいの大きさ。そんな巨大な宇宙船が祥平の目の前に浮かび、出入り口のハッチがゆっくりと開く。 「カージュメルに栄光を! 王子、お迎えに上がりました」
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