08.自分ばかりがおかしいのか?

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08.自分ばかりがおかしいのか?

 死んだ父親のことが祥平の頭に浮かんだ。父親と言っても祥平は会ったことがない。弟が生まれてすぐに亡くなったと聞いた。そしてリビングに飾ってある遺影やアルバムでその顔を見たことがあるだけ。母親はわりと整った顔の方だと思うけど、父親は……。  そして自分はその父親の方に似ている。母親や悠平、そして親戚のおじさんから昔から何度もそんなことを言われてきた祥平。どちらかと言えば、整った顔立ちも明るい性格も母親に似ている弟の悠平が羨ましいというのが正直なところだった。  弟の悠平は自分が読んでいるようなSF小説は読まない。マンガとか、流行ってる本ならいくつか弟の机の上に載っているのは見たことがある。だから、自分が読んでいるようなマニアックなSF小説は読まないだろうし、カージュメル星人なんて妄想もしないだろう。  自分ばかりがおかしいのか?  そんな疑問を頭に浮かべていると、悠平のスマホが電子音を鳴らした。祥平が宿題を教えている最中にも関わらず、悠平はスマホを手に取って、通知を開く。
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