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第六章
ヒロキと二人の生活が始まった。
本当にあの時泣き叫んでいたのはヒロキだったのかと思うくらい無愛想な態度は相変わらずだ。
そもそも手術室まで外の人間の声が聞こえるわけがない。
あれは幻聴だったのだろう。
ダウンロードだが、あれからきっちり一年後タナカは現れた。
寝ている時だ。
同じように頭に響く声で聞かれる。
「ダウンロードしますか?」と。
せめてヒロキが成人する迄と今度は「20年の延命」を頼んだ。
夢と違うのは記憶がやけに鮮明だと言う事だ。
夢ならすぐ忘れてしまうのに、タナカの声ははっきり記憶に残っていつでも思い出せる。
一人で生活していた時は一人でいる事に何も感じなかったが、ヒロキが友達の家にお泊まりしている日など彼の寝顔が見れないと寂しくなった。
変われば変わるものだ。
子供の世話というのは思いの外大変なのだが、それでも一日終わった後のこのホッとする感じは何とも言えない。
いつか俺を「お父さん」と呼んでくれるだろうか。
いや、くすぐったいな。
やめて貰おう。
今まで通り「カズヒトさん」でいいや。
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