第二章

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第二章

 俺たちは本当の親子ではない。  ヒロキは兄夫婦の息子で、二か月前に二人は事故で亡くなった。  何故、俺がヒロキを引き取ったかと言うと、上の二人の兄が拒否したからだ。  二人は結婚しており、子供もいて経済的にも家庭の事情的にも色々あるから引き取れないと言うのが理由だそうだ。  若い独身のお前ならいいだろうと、勝手に父親役を任された。  結婚もしてないのに子持ち。  全然懐いてはくれないし。  とはいえ、放っては置けない。  俺も小さい頃に両親を亡くして、上の兄三人に育てられたのだから。  育ててくれた兄達には悪いけど、ちょっと冷たすぎやしないか?  いや、親戚なんてそんなもんか。  うちら兄弟もそうだったからな。  色々と病院を回ったけど、どの医者も口を揃えて、末期なので手の施しようがないという結論だった。  あーあ、死ぬのか。  色々やりたい事はあったが、マイペースな性格のためか29歳まで特に何もして来なかった。  まだまだ若いし、とか言ってる間にもう30は目の前。  何かやっておけば良かったな。
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