第一章

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第一章

「父さんな‥‥もうすぐ病気で死ぬらしい。 お医者さんに言われた」  沈黙を破るように、前を歩く息子に声をかけた。  息子は立ち止まって振り返る。  死の意味が分かるのか、小さな顔が曇った。  休日。昼過ぎの公園。  親子連れで騒がしい。  みんな楽しそうだ。  俺は星川一人(ホシカワ カズヒト)、29歳。  息子は星川大樹(ホシカワ ヒロキ)、6歳。  初夏の訪れを感じる、蒸し暑い日だった。
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