11/29
前へ
/178ページ
次へ
 ヒナに頼ることができなくなってしまった今、彼らの情報は自力で得るしかない。彼らが何者であるのか知ることができれば、僕たちがここに閉じ込められている理由にも近づけるはずだ。  そのとき、背後で小さく物音がした。さっと振り向くと、そこに転がっていたはずの人が無言で立っていた。幽霊となって化けて出たのではない。普通に生きていたのだ。つまり、死体ではなかった。  死体でないとすると、むやみに近づくのは逆に危ない。彼らが加害者の仲間であるという可能性もゼロではないし、近くで観察しているときに目を覚まされたら厄介だ。閉じ込められている状況で、ややこしい誤解をされては困る。僕と彼らの関係がわからない以上、自然に目を覚ますのを待っているしかなかった。 ***
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加