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 でも、二人そろってこう言っているのだから、今は、本当にただの同級生だったのだと納得するしかない。茉依さんと沼田くんが口裏を合わせているなんて、それこそ考えられないし。 「遮ってごめんなさい。それで、僕に話って何ですか?」 「それは」 「私はお邪魔?」 「いや、お姉さんもいて欲しい」  茉依さんは皮肉たっぷりの言い方をしたけど、沼田くんの真剣なまなざしを浴びて、少しだけシュンとしたように見えた。 「二人は、すずめを殺した犯人を捜すんだろ? 俺も協力させてくれないか?」 「え」  力を貸してくれると言うのなら、僕は大歓迎だけど。 「あなた、そんなこと言うタイプじゃなかったと思うけど。何を企んでるの?」  茉依さんは簡単には受け入れない。 「別に、何も企んでなんかない。ただ本当のことを知りたいだけだ」 「芽依がいなくなって数ヶ月。ずっと黙りつづけていたのに、今更どういう心情の変化なの?」 「すずめが死んだのは、俺のせいだと思ってたから」  ただでさえ厳しい茉依さんの視線が、さらに鋭さを増す。 「それ、どういう意味? あなた、芽依に何をしたの?」
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