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「子どもの頃、芽依はすごく体が弱くて、よく入院してた。小学校に上がる頃にはだいぶ良くなったんだけど、中学生になったらまた」  沼田くんが引き継いでつづける。 「入院するほどじゃないけど、定期的に通院してるって言ってた。今は薬で何とかなってるんだ、って」 「それ、他のみんなは知ってたんですか?」 「知らないだろう。すずめ、病気のことは隠してたから」 「心配されたり、必要以上に気を遣われたりするのが嫌なんだって」  みんなも知らなかった、芽依さんの病気。ヒナのノートにも書いてなかったから、知っていたのは恐らく家族だけなのだと思う。  だけど、だったらどうして。 「どうしてあなたがそのことを知ってるの?」  僕の疑問を代弁するように、茉依さんが言ってくれた。沼田くんはあっさりと答える。 「たまたま見ちゃったんだ。すずめが隠れて薬飲んでるとこ」  つまり、予期せぬ事故だったと。
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