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「何でもするから黙っててって言われて。別にして欲しいことなんてなかったし、誰かに話すつもりもなかったんだけど。すずめが譲らないから、仕方なく絵のモデルを頼んだんだ。そしたら話す機会が増えて、病気のこともそうだけど、いろんなことを聞いたし、話した」  沼田くんは楽しかった時間に想いを馳せているようで、表情がどんどん穏やかになっていった。それは、この残酷な現実から目をそらそうとしているようにも見えた。そんな彼にかぶせるように茉依さんは言う。 「確かに芽依は病気だったし、状態もあまり良くなくて、中学を卒業したら入院しなくちゃいけないかもしれないって話も出てた。それに絶望して自殺したんじゃないかって。もっともらしい理由に見えるでしょ?」  みんなは高校生になってこれまで通りの、あるいはそれ以上の日常を楽しむのに、自分だけそれが叶わない。確かに、絶望はするのかもしれない。けど。 「あなたのせいって、どういう意味なの?」
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