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 知られたくなかった秘密を知られてしまった。そんな理由も考えられなくはないけど、話を聞いた感じ、沼田くんが芽依さんの病気のことを知ったのは彼女が亡くなるかなり前のようだ。最初は事故だったとしても、芽依さん自ら話したところもあるみたいだし、知られてしまったこと自体が原因とは考えにくい。  じゃあ、沼田くんは一体何をしたというのだろう。 「すずめが死ぬ前の日、『みんなにも話せば良いのに』って言った」 「『みんなにも話せば良いのに』?」 「病気のこと、『いつまで隠してるんだ?』って言っちゃったんだ。ただのクラスメイトならともかく、徳本たちには話しても良いんじゃないかって。すずめが、どんな想いで隠してたか知っていたのに」 「じゃあ、それが嫌で、裏切られたと思って?」 「すずめは悲しそうにうなずいたよ。徳本たちは特別な友達だから話してみる、って。特別だからこそ、心配されたくなかっただろうに」  「特別な友達」。その言葉に引っかかったけど、直感的に、今は沼田くんの話を遮るべきではないと思った。その意味は、あとで茉依さんにでも聞いてみることにする。
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