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「そしてあの日の朝、徳本は覚えてないだろうけど、すずめは『話したいことがある』と言った」  ヒナのノートにも書いてあったことだ。話したいことって、病気のことだったのか。 「でも放課後、すずめは死んだ。直前になって打ち明けるのが怖くなったんじゃないかって思った。それなら、すずめが死んだのは俺のせいなんじゃないかって、そう思ったんだ」  後悔するその声は震えていて、聞いているだけの僕まで心が締めつけられたように苦しくなった。 「取り返しのつかないことをしてしまったと思ったよ。徳本たちならきっと受け入れてくれるだろうって、病気のことを話したあとのことは考えていたけど、話すまでのことは考えてなかったから。俺の言葉が、すずめを追い詰めたんだ」  沼田くんはそこで一度、呼吸を整えた。 「すずめが死んだからって病気のこと誰かに話すわけにはいかないし、知っていたであろうお姉さんとも話す機会なんてなかったから、ずっと一人で抱えていくしかないって思ってた」  シュンとしている沼田くんを見て、僕は気持ちがどんどん飲み込まれていくような感じを覚えた。でも、茉依さんは容赦なく言葉を投げる。
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