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「顔と名前は一致しましたけど、それ以外はまだ少しだけだと思います」
「十分だろ。たった数日で頑張った方だ」
足手まといだって言われるんじゃないか。言われなくても、心の中ではそう思われてしまうんじゃないか。そんな風に思っていたのに、沼田くんはあっさりと認めてくれた。みんなが知らないだけで、意外と優しい人なのかな?
「徳本くんはノートとかないの?」
茉依さんの不満そうな声。僕が沼田くんとばかり会話をしていたからかもしれない。
「僕もそう思って、昨日寝る前に探してはみたんですけど。それらしいものはなかったんですよね」
「徳本くんなら、細かくまとめていてもおかしくないのに」
「もしかしたら」
沼田くんが口をはさむ。茉依さんはあからさまに不機嫌オーラを出すけど、沼田くんはまったく気にしていなかった。
「犯人に盗まれたんじゃないか?」
「どういう意味ですか?」
「昨日、桐谷が言ってただろ? 徳本は犯人に話を聞きに行ったって。もし調査ノートがあれば、そのとき持って行ったと思うんだ」
「なるほど。徳本くんのノートは、事故のどさくさに紛れて犯人に隠滅されてしまったってことね」
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