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「僕だってヒナのことでぐちゃぐちゃです。茉依さんと芽依さんはずっと一緒にいた家族だから、きっと、僕なんかとは比べものにならないくらいのショックを受けていると思います。そんなの当たり前です」  ハッキリ言い切った僕と、それを真っ直ぐ見つめてくれる茉依さん。視線がガッチリと繋がった。 「僕、芽依さんのこと絶対思い出します。だから、全部終わったら、まとめて一緒に乗り越えさせてください」  茉依さんはこぼれる涙を拭いながら微笑んだ。 「わかった。ちゃんと一緒に乗り越えてね」  その後、茉依さんは目の赤みが引いてから帰っていった。僕の親に泣いている顔を見られて、あらぬ疑いをかけられたら大変だからと笑っていた。  部屋で時間を潰している間、連絡先を交換した。僕のスマホが新しくなっていることに気づき、前のアカウントが消えていることを確認していたのだという。本当によく気づいている。「結構冷静じゃないか」とは言わなかった。 *** 「なんかすごい声聞こえたけど、大丈夫?」
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