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 険悪な空気感で目が覚めた。実際には現実世界で眠らないとこちら側で目覚めることはないのだから、そんなことありえないのだけど、そう思ってしまうくらい緊迫した空気が流れていた。  誰に何を聞かなくても、原因は明らかだった。教室後方に佇んでいるヒナと、それを遠くからにらみつけている二夜ぶりの小楠さん。主に小楠さんからバチバチのオーラが出ているのだが、それが教室中に広まって、僕は肩身が狭い。  二人はいつからこの調子なんだろう。僕が目覚めた時点ではまだヒナと小楠さん、それから茉依さん以外は起きていなかった。その茉依さんも、「今到着したばかりです」というような感じで気まずそうにしている。  ヒナと小楠さん二人きりの教室。想像しただけでお腹が痛くなってきた。  そんな調子だったから体感はすごく長く感じたが、恐らく実際はすぐに全員が目を覚ましたと思う。そして、全員がこの空気にのまれていく。  正直怖いけど、ここで目を背けるわけにはいかない。
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