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「教室で死んでるすずめちゃんを見つけたとき、これってチャンスなんじゃないかって思った。悲しくなったのはそのあと。最低でしょ? 私もそう思う。自分がそんな酷い人間だったなんて思わなくて、絶望した」  すごく悲しくなって、胸が苦しくなった。体は石のようにかたいし、声も出ない。 「リョウくんがすずめちゃんのこと調べるって知って、協力したのは、せめてもの罪滅ぼしのつもりだった。だけど、心の奥底では、ただリョウくんの側にいる理由が欲しかっただけなのかもしれない。結局私は自分のことしか考えてない。そんな人間なんだよ」  今の話は本当なのかもしれないけれど、本当ではないのだと思う。僕の知っているヒナは、何があっても優しい女の子なのだから。  芽依さんに嫉妬して、芽依さんの死をチャンスだと思ったのは確かなのかもしれない。でも、悲しくて、ショックを受けたのだって本当だろうし、週末になる度にこっちに帰ってきて一緒に調べてくれたのは、ヒナも芽依さんの死の真相を明らかにしたかったからだ。託してくれたノートを見ればわかる。
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