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 今のヒナは自己嫌悪に陥ってしまっていて、すべて悪い方に考えてしまっているに違いない。  ゆっくりとヒナの側まで行き、小刻みに震える背中に、今度こそ手を置いた。 「そんなことないと思う。今の僕に言われても説得力ないと思うけど、ヒナは優しいよ。だから、そんなに自分のこと悪く言わないで」  ヒナの震えが大きくなったのがわかる。涙が溢れて止まらないらしい。僕も、目が熱くなるのを必死で押さえ込んだ。 「ヒナはきっと、ちゃんと芽依さんのこと考えてる。そのために、今だってこんなに頑張ってる。そうでしょ?」 「リョウくんに何がわかるの?」  言い過ぎだっただろうか。ヒナの低い声が飛んできた。でも、少しでもヒナの心を軽くしたくて、僕は言葉を止めなかった。 「子どもの頃からずっと一緒にいたから、ヒナは誰かを傷つけるようなことできないって、僕はそう思ってる」 「じゃあ、それは間違いだよ」 「間違いじゃない」 「中学三年間で変わったの! 私はもうリョウくんの知ってるヒナじゃない。適当なこと言わないで!」
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