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「この状況について何か知っている人、あるいは何か気がついた人はいる?」  その問いかけに答える人はおろか、学級委員長さんの方に視線を向けた人も、僕とヒナを除くと誰一人としていなかった。 「やっぱり、私はすずめちゃんにはなれないのね」  学級委員長さんが小さくつぶやく。僕にはこの光景が異様に見えた。 「あの」  全員に聞こえるよう声を出しながら、手を挙げて立ち上がる。ヒナが不安そうに僕を見上げているのがわかった。学級委員長さんも僕の方を向いている。他の反応は期待していなかったが、魔女さんだけが僕のことを見ていた。 「気づいたことじゃないんですけど」 「何でも言って。情報は共有したい」  学級委員長さんがホッとした様子で言う。僕は一度深呼吸をしてから口を開いた。 「自己紹介しませんか?」  僕とヒナの母校に同い年くらいの男女が複数人。言動から察するに、面識のある組み合わせもありそうだ。全員がこの國澤中学校の卒業生で、同じ教室に通っていたとしてもおかしくはない。
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