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 とは思うけど、もしそうなのだとしたら、こんな状況で重苦しく黙ったままなんて不自然すぎる。今この教室に閉じ込められている原因だって、僕たちの関係性をハッキリさせれば見えてくるかもしれない。ヒナが教えてくれなかったこと、やっぱり知りたい。  覚悟はしていたけれど、案の定、怪訝な顔を向けられた。 「ふざけたこと言ってんじゃねえよ」  声の先にいたのは主人公くんだった。明らかに不機嫌だ。学級委員長さんもつづく。 「こんな状況で冗談言うなんて、徳本(とくもと)くんらしくない。どういうつもり?」  確信した。彼らは僕の中学時代の同級生だ。その証拠に、学級委員長さんはまだ名乗っていない僕の名前を知っていた。彼らの中の僕に対する信頼度と引き換えに、僕は大きな情報を得ることができた。 「リョウくんを責めないで」  かばってくれたのはヒナだった。立ち上がり、教室中に響き渡る声でつづける。
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