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 それが重要なキーワードだってことはよくわかったし、僕の中から引っ張り出せないということも理解していた。だからみんなに聞きたかったのだけど、それは空気が許してくれなかった。声を出したら、捕らえられてしまいそうだった。 「私たちのこと疑ってるみたいだけど、自分はどうなの?」  ヒナだった。声は震えていて表面上はこわばっていたが、その内からは強い意思を感じた。 「普通、こんな意味わからない状況で目を覚ましたら、まず脱出できないか確かめるよね? 自分でやってみたり、先に目を覚ましていた人に聞いてみたり。動揺してそこまで気がまわらないってこともあるかもしれないけど、最初から冷静だったのに確かめなかったのは怪しいと思う」  学級委員長さんが、それは本当かと尋ねてきた。僕は一人一人思い出しながら答える。  主人公くんは扉や窓を開けようとしていたし、怖がりくんとJKさんはすごく動揺していて、それどころではないという感じだった。学級委員長さんだって、僕たちに脱出できないのか尋ねてきた。
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