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 だけど、魔女さんと猫背くんはどうだっただろう。サッと周りを見ただけで、誰にも何も聞かず、扉や窓に近づくこともなく、目覚めてすぐ今いる場所に行ったのだ。  ヒナの言う通り、確かにそれは不自然な気もする。どうして脱出を試みようとしなかったのか。まさか、最初から脱出できないということを知っていたとか?  疑惑の目が向けられる。魔女さんは落ち着いた様子で息を吐いた。 「私が目を覚ましたとき、徳本くんと桐谷さんはそこに座っていた。もし扉や窓から簡単に出ることができるなら、いつまでもここに留まっている理由はない。閉じ込められているんだと推測することは容易だった。そして、脱出できないのなら、一人で無駄に体力を減らすべきではない。そうでしょ?」  なるほど。ふと見ると、猫背くんが小さくうなずいていた。 「でも、私たちのこと疑ってるんでしょ? 私とリョウくんが犯人の仲間かもしれないとは思わなかったの?」  少しの間を置いて、魔女さんは小さく言った。 「私、あなたたち二人のことは信用しているから」
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