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「はあっ」
飛び起きた。荒い息を整える。
見覚えしかない僕の部屋。何の違和感もないサラサラの布団の上。もちろん、制服なんて着ていない。いつもどおりのパジャマ姿だ。とりあえず、まだ鳴りつづけている目覚まし時計を止めた。
夢、だったのだろうか。
あの人たちが誰なのかはわからないけど、僕の中の眠った記憶が見せた夢だったのかもしれない。そろそろ思い出してくれよ、って言っているのかもしれない。
僕だって思い出したいよ。中学三年間の記憶、思い出。それに『すずめ』。本当に、何があったのだろう。やけに引っかかって、モヤモヤした。
父さんや母さんに聞けば何かわかるだろうか。いや。
「ヒナに連絡してみよう」
それが一番早い。
と思ったところで、それは無理だと気づいた。僕のスマホは事故のときに壊れてしまっていたからだ。意識を取り戻してから新しいものに変えたけど、パスワードがわからなくて、データを復元することはできなかった。生体認証とかいうものを設定しておけば良かったと後悔したんだっけ。
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