いつか私が終わる時

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まるでオセロみたいに挟まれて黒になる。 角を取るなんてナンセンス。 動かす側になんてなるもんじゃない。 そうやって生きるのが正解。 そうやって生きるのが一番楽。 悪口を言われるくらいなら言う方が良い。 ハブられるくらいならハブる方が良い。 黒いものを白にしようと正義を剥き出しにした結果、小学生の私は見事にハブられた。 あんな思いはもうたくさんだ。 だから中学生の私は、身を委ねるモブオセロになる道を選んだ。 そうやって生きるのが正解。 そうやって生きるのが一番楽。 そう信じて選んだのに 黒い世界で笑う日々は…ただただ辛くて苦しかった。 悪口を言うくらいなら言われる方がマシだった。 ハブるくらいならハブられる方がマシだった。 「最悪だな、お前」 たった一言…好きだった人にそう言われて、死にたくなった。 誰かを変えようと強要するのも、誰かに変えて貰おうと委ねるのもどっちも間違いだった。 白か黒かどっちかじゃなきゃいけないんだって…そう思い込んでいただけだった。 時を経て今、私の中のオセロボードは一枚の大きなキャンバスに姿を変えた。 幾つかある黒いスプラッシュは、自分が傷付けてしまった相手の痛み。「ごめんね」なんて言葉には意味がない。塗り潰す事も消す事もできない…絶対に無かった事にはできない。 だから誓うんだ…もう二度とこのキャンバスには落とさない。 私が生き続けている限り、誰かを傷付ける事(消せない黒)は増えていく。感情のままに正論()をぶち撒ける事もある。悲しみや苛立ちで暗く冷たい色が重なる時も、喜びに満ち溢れた明るい色が重なる時もあるだろう。 時折とても辛くなって、身を委ねるだけのモブオセロに戻りたくなる事もあるけれど… 溢れ出す感情の色を、心のままに自分らしく塗り重ねて…私らしく描いていこうと思う。 いつか私が終わる時… どうかこのキャンバスが、黒いスプラッシュよりもたくさんの色で埋め尽くされています様に。
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