推しブラック

莉弥

「え…慎太郎がモデル⁈」
「あぁ、こないだ面接受けて事務所入る事になった」
慎太郎と険悪ムードになったあの日から3週間程経っていた。トコちゃんが間に入ってくれてまた元通りになった途端にこの報告…。
ヘアサロンで隣に座っていた、パーマ中の陽気なお姉さんにスカウトされたらしい。二度見どころか五度見されたんだと。
「ヤバッ…雑誌とかに載っちゃうって事だよね？」
「そんなすぐには載れないっての。レッスンだの何だのでたまに学校来なくなると思うから…」
「えー…それはちょっとヤダなぁ」
鳳自慢のカフェテリアの端っこで、3人だけの秘密の話。
「だからあれだ…俺が遊びに行くぞって声かけたら、俺を最優先にしろよ？」
「分かった。そうするよ、ね。トコちゃん」
「そうだね、そうしよう」

びっくりした。でも、向いてると思う。
そっか…慎太郎がモデルになるんだ。