莉弥

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「つー事で、今日はこのまま早退するわ」 そう言って慎太郎が立ち上がった。 「えー…そんなぁ。サミシー」 甘えた声でそう言って、Tシャツにでっかくプリントされた子猫ちゃんをピンと張って、揺すりながら慎太郎に近づけた。 「ウザ、ネコこっち見んな」 笑いながら子猫ちゃんに伸ばしてきた慎太郎の手が一瞬、胸に触れた。 「…」 「今度は誰のお下がりだよ…でかネコ」 あれ……ノーリアクション⁈ 慣れてるから…なのかな。 それとも気付かれない程の弾力不足⁈ 「こ、これはよっくんから貰った」 元々は、斜め後ろの席のよっくんに貰ったシンプルなプリントTシャツだったが首周りと袖と(すそ)数センチを切り落とし、レースに付け替えリメイクした。 「あっそ…じゃあな」 「あっそ…って、自分から聞いてきたくせに」 前屈み気味でそそくさと去って行く後ろ姿を見送った。 「見てよ、トコちゃん‼︎慎太郎(あいつ)、芸能人ぶって目立たない様にしてる。」 「そうね。目立たない様にしてるね…」
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