23人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「つー事で、今日はこのまま早退するわ」
そう言って慎太郎が立ち上がった。
「えー…そんなぁ。サミシー」
甘えた声でそう言って、Tシャツにでっかくプリントされた子猫ちゃんをピンと張って、揺すりながら慎太郎に近づけた。
「ウザ、ネコこっち見んな」
笑いながら子猫ちゃんに伸ばしてきた慎太郎の手が一瞬、胸に触れた。
「…」
「今度は誰のお下がりだよ…でかネコ」
あれ……ノーリアクション⁈
慣れてるから…なのかな。
それとも気付かれない程の弾力不足⁈
「こ、これはよっくんから貰った」
元々は、斜め後ろの席のよっくんに貰ったシンプルなプリントTシャツだったが首周りと袖と裾数センチを切り落とし、レースに付け替えリメイクした。
「あっそ…じゃあな」
「あっそ…って、自分から聞いてきたくせに」
前屈み気味でそそくさと去って行く後ろ姿を見送った。
「見てよ、トコちゃん‼︎慎太郎、芸能人ぶって目立たない様にしてる。」
「そうね。目立たない様にしてるね…」
最初のコメントを投稿しよう!