慎太郎

2/2
前へ
/99ページ
次へ
 入学式で初めて会った瞬間に、俺は莉弥を好きだと思った。  一緒に過ごしていくうちに、その気持ちはどんどん大きくなっていった。  原色や蛍光のぶっ飛んだ服を着こなすセンスも、同じ服飾系を目指す俺にとっては最高に良い刺激だった。  それなのに…  推しカラーだと?  あっさりと自分のスタイルを変えてしまう程のハマり方に正直焦った。  芸能人…ましてやアイドルだから、その辺で莉弥が舜とバッタリ出会えるとは思ってない。そのうち飽きて普通に戻るかも知れない。  俺の方が側にいるし、話せるし…。  それなのに、胸騒ぎが止まらない。  俺を気にして欲しい。俺を見て欲しい。  だから俺は興味もなかったモデルの世界に足を踏み入れたんだ。  せっかく仲直りできたっていうのに、早速早退。学業優先に理解のある事務所だけど、「今日はどうしても見ておいた方が良い撮影だから」と呼び出された。  芸能人ぶってるだと?聞こえてんだよ。バカ莉弥。  人の気も知らねぇで…。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加