莉弥

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 学生証をかざしてロックを解除し、立派な自動ドアを潜り抜け階段を駆け上がる。  ドアが開きっぱなしの各教室のクーラーのおかげで、廊下もひんやりと冷えている。実にありがたい。 「おはよッ」  私が教室に入った瞬間、みんなの会話が止まった。 「え……どした?」  トコちゃんこと夏目(なつめ)朋子(ともこ)がマスカラバシバシの大きな目を更に見開いている。 「え、何が?」 「いや何がって…」 「何かあったのか?」  髪がシルバーアッシュに変わった慎太郎も心配そうに私に話しかけてきた。
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