莉弥

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「はい、席着けー」 本鈴と同時に教室に担任が入って来た。 私を二度見し、そして 「どうした……大丈夫か?」 と言った。 いやいや、何でよ? それにしても慎太郎のヤツ…何だっての⁈ 「莉弥、アト(みん)なの?」 席につくやいなや、隣の席の奈帆(なほ)が身を乗り出して声をかけてきた。 AtoM infinity(アトムインフィニティ)を崇める民…略してアト民。 「え、うん。奈帆も⁈」 「うん、私はアユくん推し」 「そうなんだ‼︎ヤバ…よろしく、コンサートとか一緒に…」 「おーい泉川、元気で何よりだけど話聞けよー」 興奮のあまり声が大きくなっていたらしい。 身近なアト民の出現にブラックな見た目に反して頭の中はバラ色のお花畑。 どうしよう、ワクワクする。 朝観てきたDVDの映像が頭の中で流れ出す。 今は遠い世界のアイドルだけど、いつかきっと会える…何の根拠もないけど、そんな気がする。 いつかきっと…
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